ドロシーメインと見せつつその実アンジェがメインの作品です。
クイーンズメイフェア校でふとした瞬間にアンジェが見せた笑顔。それはドロシーにファーム時代のある出来事を思い起こさせる契機となりました。
いつもひとりで、他人を寄せ付けないように過ごしていたアンジェ。唯一の友とも言えるドロシーには嫌でもアンジェへの言われなき中傷が聞こえてきます。これではいけない、とアンジェへどうして仲良くしないのかと聞いても「スパイに馴れ合いは必要ないわ」と取り付く島もありません。それでもドロシーは語り掛け、自分の本音を明かします。「危なっかしくて見てらんない」それはシンプルに愚直で、でもだからこそ心の底に伝わるパワーを持ち合わせていました。だからこそアンジェの本当の気持ちを引き出すことができたのです。
今のクイーンズメイフェアに帰ってきたドロシーを待ち構えていたのは無愛想なアンジェの顔。そしてそんなアンジェのそばにいるプリンセス。思わずドロシーの口元が緩んでもしかたありません。なにせアンジェの見せた笑顔はすなわち、彼女の夢が叶った証だったのですから。
アンジェとドロシーのふたりの微妙な距離感、そしてそれが醸し出す雰囲気が丁寧に描写されている作品です。