ひかりメインの小説本です。
- ひかりという星
答えが出ないまま、ひかりが参加したレッスンの内容は恋愛の即興劇。ひかりはふたりから目が離せません。演技であることは重々承知であるにもかかわらず、あたかも本心を吐露しているかのように感じてしまいます。ひかりの相手は幸か不幸かまひる。まひるの瞳を見つめて、ひかりは言葉を紡ぎます。ふたりの演技と自分の演技。ふたつのエチュードを経て、ひかりの想いはひとつになりました。
- まひるという星
その一方で、まひるはひかりと出会ってからのことを反芻します。整理整頓ができず、朝も弱く、台本さえ無くすことがある、どうしようもなく手のかかる同級生。それに反比例するかのように舞台では光り輝く様を観客はもちろん他の演者にも見せつけます。まひるはそこで理解します。自分はひかりを見ていたのだ、と。
「まひるを見ていくうちに視線が離せなくなった」偶然にもひかりにそう言われてしまうとまひるはどうしようもできません。思わず後ろに下がります。そのたびにひかりは前に進みます。まひるが下がればひかりが進む――それはまひるがもう引き下がれなくなるまで。否が応でも視界に写るひかり。逃げることができなくなったまひるはしっかりとひかりを見つめ、自分の想いを伝えます。もう二度と逃げ出さないためにも。
- 華恋という星
ひかりの曖昧模糊な感情を理解していくうちに把握していく自分の感情。そして、前に進むことを怖がっていたがために一度は拒絶を見せたまひる。そんなふたりを結びつける華恋。三者三様の感情と心情と気持ちと情調とが丁寧に書かれている作品となっています。