感想:『恋を繋いで、愛を囁いて。』空狐 燐様

2020年3月8日日曜日

感想 少女☆歌劇レヴュースタァライト

t f B! P L

ひかりメインの小説本です。

  • ひかりという星
神楽ひかりにはわからないものがあります。それは特定の誰かを好きになるという感情。特定の誰かを愛するという行為。舞台の上で恋する乙女を演じたことはあったものの、ひかり本人が体験したことはありませんでした。好きと愛の境界はどこにあるのか。それをさぐるためにそばにいる人のことを思い浮かべます。すなわち華恋とまひるのことを。

答えが出ないまま、ひかりが参加したレッスンの内容は恋愛の即興劇。ひかりはふたりから目が離せません。演技であることは重々承知であるにもかかわらず、あたかも本心を吐露しているかのように感じてしまいます。ひかりの相手は幸か不幸かまひる。まひるの瞳を見つめて、ひかりは言葉を紡ぎます。ふたりの演技と自分の演技。ふたつのエチュードを経て、ひかりの想いはひとつになりました。

  • まひるという星
「それは違うよ、ひかりちゃん」ひかりの言葉をまひるは拒みます。それは、そうであることが正しいことではないから。想定外の拒否に動揺しているひかりに声をかけたのは華恋。

その一方で、まひるはひかりと出会ってからのことを反芻します。整理整頓ができず、朝も弱く、台本さえ無くすことがある、どうしようもなく手のかかる同級生。それに反比例するかのように舞台では光り輝く様を観客はもちろん他の演者にも見せつけます。まひるはそこで理解します。自分はひかりを見ていたのだ、と。

「まひるを見ていくうちに視線が離せなくなった」偶然にもひかりにそう言われてしまうとまひるはどうしようもできません。思わず後ろに下がります。そのたびにひかりは前に進みます。まひるが下がればひかりが進む――それはまひるがもう引き下がれなくなるまで。否が応でも視界に写るひかり。逃げることができなくなったまひるはしっかりとひかりを見つめ、自分の想いを伝えます。もう二度と逃げ出さないためにも。

  • 華恋という星
ひかりとまひるの関係が改善されたことに安堵する華恋。実はふたりを影ながら結びつける存在が華恋で、だからえてして華恋がふたりの間にいるのかもしれません。嬉しくてご機嫌になり、嬉しくて涙を流す華恋には、ボヤけているかもしれませんが、確かに想いを伝え合ったふたりの姿が映し出されていました。


ひかりの曖昧模糊な感情を理解していくうちに把握していく自分の感情。そして、前に進むことを怖がっていたがために一度は拒絶を見せたまひる。そんなふたりを結びつける華恋。三者三様の感情と心情と気持ちと情調とが丁寧に書かれている作品となっています。

このブログを検索

書きたいもの

プリンセス・プリンシパル
・プリンセスとドロシーが協力してアンジェに迫るお話
・ドロシーとベアトリスが子作りに励むお話(現パロ)

少女☆歌劇 レヴュースタァライト
・田中ゆゆ子メインの凛名館もの
・夢大路栞メインのやちしおもの

QooQ