感想:『私は私に於いてあなたを愛す』ボタモチ様

2020年3月15日日曜日

感想 少女☆歌劇レヴュースタァライト

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じゅんなななとすずまひの小説本です。※アニメ本編ならびにミュージカルの事前視聴を推奨します。


  • あなたの言葉で私を呼んで
聖翔祭が終わり、大場ななが見つめる先にいるのは星見純那。そんな彼女のかつての学友が姿を現したと聞いたななは自分の知らない純那のかつてがあるのだと気づかされました。

いくら舞台少女であっても生徒である以上、勉強からは逃れられません。ただ、机に向かっているななはどうにも集中できません。自分の内側にしまっておかなくてはならない想いがだんだんと膨らんでいき、それが頭から離れなくなってしまっていたからです。勉強をしなくてはならないと考えつつも、希望とも妄執とも表現できてしまうかもしれないストーリーが脳内で構築されていくことを止められません。

そして、いつまでも聖翔祭の余韻に浸っているわけにはいきません。舞台が終わればまた新たな舞台が始まります。その練習をしている最中、ななは純那の様子がおかしいことに気づきます。その不調の根源と言えるのはかつての同級生の言葉。ななは必死に否定しますが、わだかまりは拭えません。追い打ちをかけるかのように天堂真矢の言葉が純那を笑顔にさせます。本当は、ななが見たかった笑顔を。

聖翔祭後の舞台も無事に終わり、笑顔であふれている中ななはひとり、星空の下にいました。「こんなところで、何しているの?」そんなななのもとに純那が姿を見せ、隣に腰を下ろし、そしてとある名言を口にしました。


  • 私は私に於いてあなたを愛す
同じく聖翔祭の後。露崎まひるの両親と愛城華恋、神楽ひかりのふたりが顔を合わせます。そこで話題になったのは恋の、誰かを好きになるという話。

そんなまひるに南風涼から出かけないかとの誘いが来ます。ともに北海道出身のふたりにとって、東京はまだまだ見たことのない場所だらけ。どこに行っても驚きに満ちています。同じ出身だからか、はたまた波長があったからか、ふたりの一日はあっという間に過ぎていきます。

もうすぐお別れという頃、ふと凉が本音を漏らしますが、まひるが答える間もなく涼はそれをかき消しふたりは帰路につきます。形状しがたい感情がうずまきつつも、あと一歩が踏み出せないまひるは凉と連絡を取ることができません。

まひるにはそれまで、恋を理解することができていませんでした。しかしながら、自分の想いを感じ取り、そばにいる人の間柄の変化を飲み込んだ今のまひるには理解できます。それまで知らなかった恋という名前の感情、そしてその尊さやその辛さが。一方、凉はクラスメイトに真情を吐露し、まひるへの想いを再確認していました。

手間のかかる妹のような存在である華恋の課題を手伝っていたまひるは嬉しそうな華恋から放たれた喜びだけで構成されている言の葉を聞き、短く告げます。「私、行かなくちゃ」華恋はどこへとはたずねず、まひるもどこに行くとは伝えませんでした。それでも今のまひるにはどこに行くべきなのか、そして何をすべきなのか。そのすべてを見いだしていたのです。


同じ起点から物語を始め、舞台少女の少女に焦点をあて、それぞれの心情が丁寧に描写されている作品だと感じました。特に「私は私に於いてあなたを愛す」は砂をかむような以前があるからこそ臆病になってしまっているまひるの葛藤が印象的な作品でした。

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