ベアトリスがメインの小説本です。表紙は佐久間ぬた様。
ベアトリスがいるのは一緒に暮らすために用意された家。ふたりでチョイスした家具と、共に映っている写真とが彼女の頬を緩めます。幸せという温もりに包まれ、思わずまぶたが重くなるベアトリスに声をかけたのは、ひとりの女性。その髪も、その声も、その顔も。わかっているはずなのにその名前だけが、どうしてだか口から出てくることはありません――。
「ベアトは、よく見るのかしら?」ベアトリスの朝の日課となっている、プリンセスの髪梳き。自分が見た夢が気になり、プリンセスに述べると、嬉しそうな声色が聞こえてきました。姫様は続けます。現実を豊かにすれば、そのような夢は忘れることができる、と。
その人は――ドロシーは社交的で、周囲にいつも誰かがいます。ベアトリスがついつい後を追いかけるかのようになってしまってもドロシーは優しく受け止めてくれます。ふたりが同一人物ではないとベアトリスは理解していても、それでも、彼女を見ると、どうしてもベアトリスにはもうひとりが思い浮かびます……。
これまでと同じ生活と、これまでとはまるで違う生活とが入り交じり、なんとも言えない感情にどうすればよいのかわからないベアトリス。その様を対比を用いて表現している作品となっています。
これまでと同じ生活と、これまでとはまるで違う生活とが入り交じり、なんとも言えない感情にどうすればよいのかわからないベアトリス。その様を対比を用いて表現している作品となっています。