ifのエイラがあまりにもイケメンだったので、いつの間にか完成していました。勢いは恐ろしいってはっきりわかんだね。
http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=362368
1947年。史上初となる3度目のマンネルハイム十字章受勲者があらわれた。
スオムスのトップエース、エイラ・イルマタル・ユーティライネン大尉だ。
受勲式が終わり、エイラはひとり足早に歩いていた。ひと気がなく、どこかさびしい。事前に誰も近づかないように言っておいたが、まさかここまで徹底されるとは――。少しだけエイラは驚いていた。
しばらく歩くとエイラは扉の前で立ち止まり、これから会う人に失礼のないように服装をチェックしはじめる。そこはエイラのためにあてがわれた部屋だ。
チェックし終えた後、深呼吸をひとつしてから勢いよく扉をあける。中にはイスに座っていたサーニャ・V・リトヴャクがいた。
エイラが初めてサーニャと出会った501以来、ふたりはずっとそばにいた。同じ北欧出身者だったからか、ふたりともどこか他のウィッチよりも気になっていた。だが、その気持ちを伝えることはこれまでなかった。
サーニャを含め、501のメンバー全員が受勲式に参加してくれた。その後サーニャだけを呼びとめておいたのだ。よくちょっかいを出したペリーヌ・クロステルマンも今や少佐で506の司令官として多忙な日々を送っているそうだ。
「エイラ。あらためておめでとう」
「ありがとう」
スオムスの地酒であるコッスをグラスに注いで飲む。ふたりは笑顔だ。受勲したことが嬉しいのもあるだろうが、久しぶりのふたりだけの時間ということの方が大きい。まわりには誰もいない。ここで何が起きたとしても、誰にもバレることはない。
「サーニャ」
エイラがサーニャを見つめながら言う。
もう迷いはない。
「サーニャに、大切な話があるんだ」
色々な場所を転々とした。色々な出来事があった。色々な抱懐があった。それでも、ひとつだけ変わらなかった想いがあった。それを今、伝える。伝えるためにわざわざ部屋を用意してもらったのだ。ここで伝えなければ、スオムスのエースの名が廃る。
そう思うと心拍数が急激に上昇した。これまで幾度となく体験してきた胸の高鳴りはいつの間にか嫌いではなくなっていた。そのたびに嬉しいことがあったからだ。
サーニャを見つめる。瞳を逸らさないように必死に努力をしながら言葉を紡ぐ。
「サーニャ。好きだ。愛している」
エイラの告白にサーニャは驚きを隠せなかった。成長したとはいえなんだかんだヘタレなエイラであったから、今回呼び出されたのもふたりきりで受勲のお祝いをするのだと思っていた。
だというのに、突然の告白。悲しいわけじゃない。うれしい。とても、とてもうれしい。
「私もよ。エイラ」
素直に自分の気持ちを口にした。その言葉を聞いたエイラは安心したのか、少しだけ表情を緩める。そしてすぐに心配そうな顔になる。
「だ、大丈夫か?」
最初はどうして突然エイラが慌てているのかわからなかった。ふと自分の頬を触ると、いつの間にか涙が流れていた。
「あ……。ご、ごめんなさい。嬉し涙だからすぐに止まると思うわ」
だが、いくらぬぐっても止まらない。どんどん瞳からあふれてくる。
そんなサーニャをエイラは優しく抱きしめる。
「ごめんは私のセリフだ」
頭の後ろから、声が聞こえる。少しだけ、泣きそうな声だ。
「ずっとサーニャのこと好きだったのに伝えられなくて……。待たせちゃって、ごめん」
抱きしめられていただけのサーニャもエイラに腕を回す。暖かくて、心地いい。多分、エイラも同じことを考えているのだろう。そう思うとエイラの鼓動がとてもいとおしく感じられるようになった。
サーニャの涙が収まってからふたりは向かいあった。戦友としてではなく、友人としてでもなく、恋人として。そのままそっと、唇を重ねた。
ふたりの物語はまだはじまったばかりだ。
このブログを検索
ラベル
書きたいもの
プリンセス・プリンシパル
・プリンセスとドロシーが協力してアンジェに迫るお話
・ドロシーとベアトリスが子作りに励むお話(現パロ)
少女☆歌劇 レヴュースタァライト
・田中ゆゆ子メインの凛名館もの
・夢大路栞メインのやちしおもの