『少女☆歌劇レヴュースタァライト』のスマートフォン向けゲームアプリ「少女☆歌劇 レヴュースタァライト -Re LIVE-」に登場する”ちょっぴり大人向けなお話も含まれている、巴珠緒と秋風塁がお付き合いしている概念の作品のみをあつめた合同誌”(via メロンブックス通販)です。
また、個人的にはいわゆる"なんでも許せる人向け"という印象を受けました。
・なまえをよんで(サントウカ様・漫画)
目を覚ました塁が最初に見たのは、眉をつり上げている珠緒。その原因を思い出した塁は珠緒の名前を呼びます。意を決して呼んだ塁は、そんな珠緒の上目遣いに一発でやられてしまいます。塁が珠緒に敵う日はまだまだ遠いと感じずにはいらませんでした。
・ほろ酔い注意報、無防備EXTREMELY(桜羽悠陽様・小説)
ほろ酔い注意報……泥酔した珠緒をお世話する塁。普段見ることのない珠緒にドギマギしつつも、決して乱雑に扱わない塁。食んだ唇が例えどんな味であっても大切で大好きな人とのキスに変わりありません。念のために購入していた食材も無駄にならなくてよかったと思いました。
無防備EXTREMELY……"珠緒"のお世話をする塁。塁が自分の身体に触れても嫌がる素振りは見せません。それどころか、ブラッシングが気持ちいいのか無防備な姿を珠緒は塁に見せました。その光景に塁は頬を緩めます。たおやかな雰囲気が伝わってくる作品でした。
・かく頬にしむこと(とも様・漫画)
珠緒が悩むのは塁のこと。胸中を吐露し、どうすればいいのかわからなくなった珠緒に塁は行動で答えます――そばにいてくれればいいんです、と。オブラートをめくればそこにいるのは見慣れた塁と見慣れた珠緒。これまで続けていたふたりの『いつも』が、これからも末永く続いでほしいと切に願ってしまいたくなる作品です。
・明日も明後日も、末永く宜しくお願いします。(ぼーやぐ。様・小説)
凛明館を卒業した塁は珠緒と一緒に暮らしています。そんな塁のもっぱらの悩みは距離が近いこと。珠緒を独り占めできる一方で、近すぎる距離が塁を悩ませてしまいます。そんな折、ただでさえ近かったふたりの距離が、さらに近づくことになります。塁が日数を正確にカウントし、記憶しているのがガチだなと思いました。
・貴女の手を取れるなら(ソーラ様・小説)
珠緒とデートをすることになった塁の感情と行動とがひたすらに爆発している小説です。他のキャラクターでは「行き過ぎ」と思えてしまう行動が塁だとそれほど違和感を覚えないのは、間違いなく珠緒のための行動だからでしょう。
・恋する私の道標(黎様・小説)
塁の視界に少しでも珠緒の姿が入ってくれば、眠気など吹き飛んでしまいます。そんな塁と深い間柄になっている珠緒は、後輩と自室でふたりだけの時間を過ごすのが楽しみで堪りません。珠緒と塁……先輩と後輩とがシームレスに恋人に移行する様子を見せてくれるふたりなら、誰もが祝福してくれるカップルになると確信することができる小説でした。
・珊瑚珠の色(鱈鱒様・漫画)
泥酔した珠緒をお世話する塁。いつもとは逆の立場に微笑んでいられたのはほんのわずかな時間でした。介抱するために近づいた珠緒はあまりにも魅力的で、塁の理性が崩壊しなかったのが不思議でたまりませんでした。あと、語りを担当しているゆゆ子がかわいいです。
・三年目(恭一様・小説)
賢者の贈り物のような作品だと思いました。たとえ触れることは叶わなくても、ふたりの想いははるか以前からひとつだったわけです。ただ、お互いに不器用すぎた、ただそれだけだったわけですね。それと多分語りの少女は赤が似合うんじゃないかなと思いました。
・一緒にお住まいのたまるい(湯川M様・漫画)
ふたりでテレビを見ていた時、ふとしたことからこのままでよいのかと考えはじめてしまう真面目な珠緒。珠緒に迫られてしまえば、塁は心中を吐露するしかありません。ふたりの視線はあっという間にテレビではなく、お互いに向けられます。お互いの髪に触れ、お互いの想いに触れたふたり。珠緒と塁にしてみれば、いつでも触れられる距離にいるのが当たり前の空気なのだと感じ取れました。
・あなたとならどこまでも(あーるでこ様・小説)
最愛の人にだけ赦せる行為ができても、本心というものは必ずしも見せてくれるものではありません。塁の行動に不審を覚えた珠緒は自分から誘います。いつもとは違う状況であってもお互いの愛は不変で、ラストのシーン、言葉を交わさなくともふたりの本意が伝わったに違いありません。
銘々のたまるいを思い思いに、かつ鮮明に表現されている作品集です。
最後に蛇足かもしれませんが、読んでいてゆゆ子や文の存在の偉大さが垣間見えてしまったのはどうしてでしょう。ちょっとわかりませんでした。